成果上げる病院訪問ボランティア―進化する患者会(中)(医療介護CBニュース)

 がんに苦しむ患者にとって、医療者だけでなく、同じような体験をした先輩患者が相談相手になってくれたらどんなに心強いだろう。乳がん患者のサポートや早期発見啓発運動などを行っている「あけぼの会」(東京都目黒区、会員数4000人)は、乳がん手術を受けて入院中の患者を手術体験者が訪問して、不安や疑問に答えたり、退院後の生活に必要な情報提供を行ったりする「病院訪問ボランティア」(あけぼの・ブレスト・キャンサー・サポート・サービス=ABCSS)を1994年3月から実施している。

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 富樫美佐子副会長も、ABCSSに魅かれて「あけぼの会」の活動に本格的にかかわるようになった。富樫さんは99年10月、44歳の時に乳がんの手術を受けた。「傷痕が痛いのはもちろん、胸に鉄板を入れられたような感覚があった。リンパ節を切除したため、利き腕にも違和感があった。これからどうなるのだろうと不安で、経験者がどのようにしているか気になっていた」と当時を振り返る。「ABCSSのことを知り、思わず電話をかけた。翌年1月の集会に招かれ、100人余りの乳がん手術経験者を目の当たりにして、術後5年、10年以上の方たちの元気な姿に感激した」という。

■588人の訪問実績

 乳がんの罹患者は年々増加している。特に40―50代、子どもが高校、大学に通って教育費が最もかかる時期、あるいは親の介護が必要となる時期に重なる。早期発見・早期治療はもちろん、罹患者に対しては精神面からの支えも重要になる。「ABCSSの第一の目的は、先輩患者が普通に元気に生活している姿を見せること。患者さんの不安はかなり小さくなり、治療を素直に受け入れられるのではないかと思う。スムーズに通常の生活に戻る助けにもなる」と富樫さんは語る。

 ABCSSは、病院側の協力を得た「公的訪問」であり、「個人的訪問」ではない。富樫さんは「病院側から受け入れ態勢を取りますと言われなければ、わたしたちは行くことができない」と説明する。その受け入れ病院数は、ABCSSのスタートから16年で11都府県の14施設にとどまっているのが実情だ。

 ABCSSのボランティアメンバー(相談員)の資格要件は、▽乳がん体験者であけぼの会会員、術後1年以上▽所定の研修を受けて、現在健全な社会生活を営んでいる▽思いやりがあり、思慮深く、自分の体験を社会のために生かしたいと考える、勇気ある女性たち―の3点。テキストに沿って「医学的な質問には答えない」「自分の病歴と比較しない」「訪問した患者さんのプライバシーを守る」ことなどを確認。さらに、ロールプレイや訪問後のレポート作成などの十分なトレーニングを受ける。現在110人体制で、08年には588人の患者訪問実績を残した。

 受け入れ病院や患者の反応は「同じ経験をされた方だからこそ分かる思いがあり、医療スタッフの対応だけでは十分ではないこともあると思う」(看護師)、「相談員の明るく元気な姿を見て、わたしも大丈夫と勇気づけられた」(患者)など好意的だ。
 
 それにもかかわらず、受け入れ病院数が伸びないのは、医療に患者会がかかわることを煩わしいと感じる医療者が多いからだろうか。あるいは患者のプライバー保護の観点から慎重にならざるを得ないのかもしれない。患者会が、チーム医療の一翼を担うまで進化するためには、医療者との強い信頼関係を築き上げていくことが必要だ。


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